脇汗がひどいのは病気?腋窩多汗症の原因・治療法・保険適用を皮膚科専門医が解説

このような悩みは、単なる「汗っかき」ではなく、原発性腋窩多汗症(げんぱつせいえきかたかんしょう)という病気が原因かもしれません。

原発性腋窩多汗症は、脇に必要以上の汗をかき、仕事や学校、人付き合いなど日常生活に支障をきたすことがあります。

しかし、現在は塗り薬やボツリヌス療法(いわゆるボトックス注射)など、症状に応じた治療法があります。

「脇汗くらいで皮膚科に行っていいの?」と我慢する必要はありません。

この記事では、脇汗が多くなる原因から、多汗症の診断基準、保険適用の治療、ボトックスとの違いまで、皮膚科専門医の視点からわかりやすく解説します。

【秒速トリアージ】その脇汗、皮膚科に相談したほうがいい?

今すぐ医療機関への相談を考えたいケース

【今すぐ受診】

  • 胸の痛みや息苦しさを伴う
  • 強い動悸やめまいがある
  • 発熱などの全身症状を伴う
  • 夜間に寝具や衣服が濡れるほど汗をかく
  • 脇だけでなく全身に突然大量の汗をかく

脇汗だけの問題ではなく、別の病気や薬剤などが発汗の原因になっている可能性があります。

【早めに皮膚科へ】

  • シャツの脇の汗ジミが頻繁に気になる
  • 汗で仕事や授業に集中できない
  • 人前に出ると脇汗が気になってしまう
  • 制汗剤を使っても十分な効果がない
  • 汗のせいで着る服を選んでしまう
  • 汗を気にして人付き合いを避けることがある
  • 両脇に汗をかく状態が長期間続いている

「生活に支障があるか」は、多汗症を考えるうえで重要なポイントです。

【様子見・早めの相談】  

  • 暑い日や運動したときだけ汗をかき、生活に困っていない場合はセルフケアでも構いません。

ただし、汗の量が増えてきた、以前より汗が気になるようになったという場合は、皮膚科で相談することで原因を整理できます。

脇汗がひどいのは病気?「原発性腋窩多汗症」とは

  • 脇汗が異常に多く、生活に支障をきたしている場合は「原発性腋窩多汗症」の可能性があります。

    多汗症とは、体温調節に必要な範囲を超えて汗が多く出る状態です。

    特に脇に汗が集中するタイプを「腋窩多汗症」と呼びます。

    普通の脇汗と多汗症は何が違う?

    暑い場所にいる、運動する、緊張するなどの状況では、誰でも汗をかきます。

    一方、多汗症では、発汗量が多いだけでなく、汗によって日常生活に困ることがあります。

    例えば、

    • 書類や衣服が汗で濡れる
    • 人と握手することが気になる
    • 電車や職場で汗ジミが気になる
    • プレゼンや面接のときに汗が止まらない
    • 汗を気にして外出をためらう

    といった状態です。

    「汗の量」だけではなく、汗によってどれほど生活に影響が出ているかが重要です。

原発性腋窩多汗症と「別の病気による汗」を見分ける

脇汗が多い場合、まず原発性多汗症なのか、別の病気による発汗なのかを考えることが大切です。

原発性腋窩多汗症

原因となる明らかな病気がなく、脇など特定の場所に汗が多く出るタイプです。

続発性多汗症

甲状腺疾患、感染症、神経疾患、ホルモンの変化など、別の病気や薬剤などが原因となって発汗が増えることがあります。

特に、

  • 急に汗が増えた
  • 全身に汗をかく
  • 夜中に大量の汗をかく
  • 発熱や体重減少などを伴う

といった場合には、原発性多汗症だけではなく別の原因を考える必要があります。

脇汗は放置で治る?よくある質問

Q1. 脇汗がひどいのは病気ですか?

生活に支障が出るほど脇汗が多い場合は、原発性腋窩多汗症の可能性があります。

単なる汗っかきと決めつけず、一度皮膚科で相談してみましょう。

Q2. 脇汗は自然に治りますか?

一時的な発汗なら自然に落ち着くことがありますが、長期間続く多汗症は治療を検討できます。

特に生活への影響が大きい場合は、我慢する必要はありません。

Q3. 脇汗は何科に行けばいいですか?

まずは皮膚科に相談できます。

原発性局所多汗症は皮膚科で診断・治療される代表的な疾患の一つです。

Q4. 市販の制汗剤でも治療できますか?

軽い発汗ならセルフケアで対応できる場合があります。

ただし、生活に支障があるほど汗が多い場合は、医療機関で治療を相談できます。

Q5. 脇汗の薬は保険適用ですか?

原発性腋窩多汗症には、保険診療で使用できる外用薬があります。

エクロックゲルやラピフォートワイプなどがその代表です。

Q6. 脇汗のボトックスは保険適用ですか?

重度の原発性腋窩多汗症では保険適用の対象となります。

ただし、誰でも保険で受けられるわけではなく、適応となる重症度などの条件があります。

Q7. 子どもの脇汗も治療できますか?

子どもの発汗についても、症状によっては皮膚科で相談できます。

発症年齢や発汗部位、成長との関係などを確認して治療方針を考えます。

Q8. 男性でも女性でも治療できますか?

性別にかかわらず、原発性腋窩多汗症は治療の対象になります。

汗による困りごとがあれば、気軽にご相談ください。

脇汗を止める方法|皮膚科でできる治療

日本皮膚科学会の2023年改訂ガイドラインでは、原発性腋窩多汗症に対して外用抗コリン薬、塩化アルミニウム、重症例に対するボツリヌス毒素局注などが治療選択肢として示されています。

治療方法

特徴

保険適用

塩化アルミニウム外用

汗を抑える外用療法

原則、自費

エクロックゲル

1日1回使用する外用薬

保険適用

ラピフォートワイプ

脇を拭くタイプの外用薬

保険適用

ボツリヌス療法

汗を出す神経の働きを抑える注射

重度の原発性腋窩多汗症で保険適用

内服抗コリン薬

全身的に発汗を抑える

医師が適応を判断

※保険適用の可否は、診断や重症度、治療内容などによって異なります。

エクロックゲルとは?脇汗に使う保険適用の塗り薬

エクロックゲル5%は、原発性腋窩多汗症に使用する処方薬です。

有効成分は「ソフピロニウム臭化物」です。

汗腺にあるムスカリンM3受容体という部分に作用し、発汗を抑えます。

PMDAの添付文書では、原発性腋窩多汗症に対して1日1回、適量を腋窩に塗布する薬として承認されています。

エクロックゲルの注意点

抗コリン作用を持つため、誰でも使用できる薬ではありません。

添付文書では、閉塞隅角緑内障や前立腺肥大による排尿障害がある患者さんなどが禁忌とされています。

また、傷や湿疹・皮膚炎などがある部位への使用にも注意が必要です。

そのため、市販の制汗剤と同じ感覚で自己判断して使用する薬ではありません。

ラピフォートワイプとは?脇を拭いて使う多汗症治療薬

ラピフォートワイプ2.5%も、原発性腋窩多汗症に使用される処方薬です。

有効成分はグリコピロニウムトシル酸塩水和物です。

汗腺にあるムスカリンM3受容体に作用し、脇の発汗を抑えます。

ワイプタイプなので、「ゲルを塗るより拭き取りタイプのほうが使いやすい」という方に適することがあります。

ただし、こちらも医療用医薬品です。

使用方法や注意点を守り、医師の診察を受けたうえで使用してください。

脇汗と似ている症状・病気の違い

「脇汗」と思っていても、実際には皮膚炎など別の病気が隠れていることがあります。

病気・状態

主な特徴

皮膚科での対応

原発性腋窩多汗症

脇の汗が過剰

多汗症治療

汗疹

赤い小さなブツブツ・かゆみ

炎症治療など

接触皮膚炎

制汗剤などを使った部分に赤み・かゆみ

原因除去・外用治療

カンジダ性間擦疹

脇が赤くただれる

必要に応じて顕微鏡検査・抗真菌薬

化膿性汗腺炎

痛いしこりや膿を繰り返す

炎症の程度に応じた治療

特に、脇汗に加えて赤み、ただれ、強いかゆみ、痛いしこり、膿などがある場合は、多汗症だけとは限りません。

皮膚科では症状に応じて視診・触診を行い、必要であれば顕微鏡検査などを使って診断します。

皮膚科では脇汗をどう診察する?

脇汗の診察では、汗の量だけでなく、発症時期や生活への影響を確認します。

問診では、例えば次のようなことを確認します。

  • いつ頃から汗が増えたか
  • 両脇に汗をかくか
  • 手や足、顔などにも汗をかくか
  • 睡眠中も汗をかくか
  • 家族に多汗症の人がいるか
  • 仕事や学校にどの程度影響しているか
  • 使用中の薬があるか
  • 発熱や体重減少などがないか

脇の皮膚に赤みや湿疹、ただれなどがあれば、その状態も確認します。

皮膚の病気が疑われる場合には、必要に応じて顕微鏡検査やダーモスコピーなどを使い、見た目だけでは判断しにくい病気を鑑別します。

東京駒込皮膚科クリニックのご案内

  • クリニック名: 東京駒込皮膚科クリニック
  • 住所: 東京都豊島区駒込2-15-8 駒込ビル2F(豊島区・文京区・北区の境界、駒込駅すぐ)
  • アクセス: JR山手線・東京メトロ南北線「駒込駅」北口・5番出口から徒歩1分
  • 予約方法: 24時間いつでもネットからWEB予約が可能

当院では、寝不足で辛い思いをされている方が「来てよかった、今夜から眠れそう」と安心していただけるよう、親身な診察を心がけています。もし当院の治療でお悩みが軽くなりましたら、励みになりますので、ぜひ[Googleマップへの温かい口コミ・レビュー]へご協力いただけますと幸いです。

この記事のまとめ

脇汗が多く、生活に支障がある場合は「原発性腋窩多汗症」の可能性があります。

原発性腋窩多汗症は、単なる汗っかきではなく、治療を検討できる病気です。

治療には、エクロックゲルやラピフォートワイプなどの外用薬があります。

重度の原発性腋窩多汗症では、ボツリヌス療法が保険適用になる場合もあります。

どの治療が適しているかは、汗の程度や生活への影響、持病などを踏まえて判断します。

脇汗だけでなく、赤み・ただれ・痛いしこりなどがある場合は、別の皮膚疾患の可能性もあります。

駒込駅徒歩1分の東京駒込皮膚科クリニックでは、脇汗を含むさまざまな皮膚のお悩みをご相談いただけます。

「脇汗が気になる」という段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。

【クリニック情報】

場所: JR山手線・東京メトロ南北線「駒込駅」徒歩1分